胆石とは

肝臓では、胆汁と呼ばれる脂肪分の消化を助ける液体が生成されています。その胆汁の成分が溶けきれず、石のように固まったものを胆石といいます。胆石は、胆汁の存在する肝内、胆管、胆嚢に発生する可能性があります。特に胆嚢では胆汁が濃縮された状態で貯蔵されるため、胆石ができやすくなります。

胆石の種類は様々ですが、どんな種類の胆石が原因となる胆石症であっても、胆嚢を摘出する手術（胆嚢摘出術）が根治的かつ、現在の標準治療です。石を溶かしたり砕いたりする治療、石だけを摘出する手術は、ほとんどおこなわれていないのが実状です。

１＆２.コレステロール系のとがった胆石
３.割れた胆石
４.直径2.5cmの胆石
５.1,643個の小さな胆石

胆石症の症状

胆石症の代表的な症状は、みぞおちや右脇腹の痛みです。胃の痛みと勘違いされることも、しばしばあります。胆石が胆嚢内の広いスペースにある状態では無症状ですが、食事などによって胆石が動いて胆嚢の出口や胆嚢管にはさまると、腹痛が生じます（胆石発作）。胆石が再び胆嚢内にもどれば発作は治まりますが、はさまったままであれば、急速に胆嚢に炎症が進行し（急性胆嚢炎）、発熱や強い腹痛が生じます。

当院での治療

当院では、胆嚢ごと胆石を摘出する「腹腔鏡下胆嚢摘出術」を全身麻酔下でおこなっています。おへそに1cmの創をあけ、ポートとよばれる筒を挿入し、そこから腹腔鏡とよばれるカメラを出し入れします。右の上腹部に5mmのポートを3カ所追加し、そこから鉗子やはさみを用いて操作します。胆嚢は、おへその創から摘出します。

当院で手術するメリット

以下のようなメリットがあります。

• 創が目立たない工夫

当院では、5mmのポートを3mmや2mmに縮小しておこなうこともあります。これらの創は、時間が経てばほとんど目立ちません。

• 胆管結石を遺残させない

胆嚢を摘出しても、稀に総胆管内に結石が落石して遺残していることがあります。当院ではほぼ全例に、胆嚢の手術中に造影剤を胆道に直接注入し、CTを撮影して胆嚢や胆管を詳しく調べる検査（術中胆道造影）をおこない、総胆管結石の遺残の有無を確認しています。総胆管結石があれば、術中に摘出することが可能です。

• 急性胆嚢炎の早期改善・治療期間短縮

急性胆嚢炎の場合、まず体の外から肝臓を介して、胆管または胆嚢にチューブを入れ、胆汁を体の外に排出する治療（胆嚢ドレナージ）をおこないます。手術の難易度が高いこともあり、数週間回復期間を設けて、二期的に胆嚢を摘出することが多く、治療に約2ヶ月くらいかかることも少なくありません。

当院では、腹腔鏡手術の技術認定医が複数名在籍しており、「急性胆嚢炎に対してはできるだけ早期の手術をおこなうべき」という、診療ガイドラインで推奨されている方針をとっています。その結果、症状は早期改善、翌日から食事も可能となり、早ければ術後3日前後に退院ができることがほとんどです。

手術は症状がなくても元気なうちに！

ひと昔前は、開腹手術が主流であったため、術後の回復に要する入院期間が長く、無症状の場合は手術をせずに様子をみることがありました。しかし、現在では、腹腔鏡手術の普及によって術後の回復が早くなり、術後2-3日で退院できるようになりました。今は無症状であっても、今後の長い人生の中で、胆石発作や急性胆嚢炎が起こる可能性があり、高齢になってからでは手術のリスクが高まることも予想されます。このような理由から、当院では、胆石がみつかった場合、症状がなくても、“元気なうちに”手術することをご提案しています。

胆石症を開腹手術と内視鏡外科手術で行った場合の比較

大きく太いミミズがはっているようなキズあとが残るのに対し、内視鏡外科手術ではキズあとがほとんどわかりません。

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初診時選定療養費ついて

初診時に、他の医療機関等から紹介状をご持参されない場合は、初診時選定療養費として、7,700円をお支払いいただきますのでご了承ください。