診療科・部門
呼吸器外科
方針
当院に来られた患者様は当科で診断して、その結果を患者さま、ご家族とともに相談して、最新、最善の治療を受けていただく。
理念
最新の統計では日本人の死因の中でがんによるものは4分の1以上であり、38万人が亡くなっています。2番目の心臓病による死亡の約2倍です。特に男性では3分の1が、がんでなくなっています。また、男性では臓器別で肺がんが最も多く、5万人に近い方が亡くなっています。女性では大腸がんに次いで2番目でした。そのために肺がんに対する早期診断と適切な治療が非常に大切です。当院呼吸器外科では確定診断、外科治療や抗がん剤投与をふくめ、すべての検査、治療を行っております。
特色
■気管支鏡検査、CT下肺生検
肺の異常な陰影の診断は大切ですが、胸の奥の方にあるために、特殊な検査が必要になります。その一つが気管支鏡検査です。胃カメラと似たカメラを飲んでいただく「肺カメラ」の検査です。カメラの太さは胃カメラの4分の1程度と非常に細いものです。その検査でも診断しづらい肺の端にある陰影にはCTを使って直接にその部分の細胞をとってきて診断します。遺伝子検査を含めた詳しい診断が非常に大切です。それによって様々な治療の中で、どれを選択するかをご本人と、ご家族を含めて納得がいくまで相談させていただきます。
■胸腔鏡手術
呼吸器外科は25年前に大きな変化が起こりました。それは胸腔鏡手術(内視鏡手術)です。従来の手術は15㎝から30㎝の傷で、時には肋骨を切り取って手術してきました。それを開胸手術といいます。この胸腔鏡手術では最も大きな傷は4cmで、肋骨に傷を付けません。それを含め2cm程度の傷を2か所、計3か所の傷で手術を行います。傷が小さい分、手術後の痛みは少なく、「患者さんにやさしい手術」と言われております。90歳を過ぎた患者様にも手術を行うことが可能になりました。25年前にその手術を始めた頃は、多くの高名な先生方から非難されましたが、最近では呼吸器手術の8割以上が胸腔鏡手術になって来ました。そんな小さな傷で肺が取り出せることに疑問を持たれるのは、当然です。肺は空気で膨れており、4㎝の傷でほとんどの肺癌が切除できるのです。もちろん、以前の大きな傷の手術と同じぐらい、またそれ以上の良好な結果を得ております。
■気胸、膿胸など
肺がん以外では、気胸、膿胸、肺膿瘍や縦隔腫瘍、胸壁腫瘍など胸部全体の病気の診断と治療も行っていきたいと思います。とくに気胸は再発しやすい病気です。そのために手術の時に再発を防止するために吸収する膜を肺の表面に張ることで、再発を来たさないように工夫しております。
■手掌多汗症(手汗)
手掌多汗症といって、手のひらの汗が異常に多い病気があります。バッグがすぐ痛むために持てなかったり、手汗で紙にシミができるために字が書きづらかったりします。また、キーボードを使う方や看護師、美容師さんのように手を使う仕事の方には悩んでおられる患者さまが多いのです。胸の中を通っている交感神経の一部を切除することで、著明に改善します。またその傷は針でついたように小さく、しかも脇の下につくために、ほとんど気にならないものです。
くわしくはこちらを御覧下さい。
■肺がんの手術以外の治療
当院では肺がんの治療方法は手術だけではありません。病気が進行していたときの抗がん剤も可能です。ご存知のように肺がんは特に治療の難しい癌です。手術だけで治るものもありますが、病気が進行した患者様も多いのです。それらの患者様には従来の抗がん剤以外に免疫治療、遺伝子治療、放射線治療を含めた様々な治療法を組み合わせることで、一番いい治療方法を相談して選んでいただきたいと思います。