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手掌多汗症について

手汗は手掌多汗症(しゅしょうたかんしょう)という病気です。

精神的な緊張や運動をすると、「手に汗を握る」状態になります。それが日常生活で障害が伴うほど頻回に起こってきたり、汗の量が極端に多くなってきたりすると手掌多汗症と診断されます。

筆記時にノートや答案用紙にしみがつく。コンピューターのキータッチができない。ハンドルが濡れて車の運転に支障がある。看護師、美容師、教師のように人と接触することが多い。手を繋げない、握手ができないなど、さまざまな場面で支障が生じます。

この病気は本人にとっては苦痛であり、親や兄弟、友人などの身近な人に相談するのですが、単に体質ということで片付けられてしまうことも多いのです。明らかに病的なのに悩みながら日々を暮らしている方もいます。特に中高校生はその悩みが多く、引っ込み思案になっている女生徒も何人もいました。また、いわゆる美容整形と違って、健康保険を使って手術で治る病気であるとご存じない方もおられました。

原因は、まだはっきりと解明されていません。発汗の中枢は脳の視床下部にありますが、手掌多汗症は精神性発汗であり、大脳からの刺激が深く関与していると考えられます。何らかの原因で交感神経の働きが活発になる事で、エクリン汗腺が活性化され、多量の発汗が生じます。

治療法には、心身療法(心理療法、自律訓練法、精神安定剤による治療)薬物療法や神経遮断薬(プロバンサインンなど)や制汗剤(アルミニウム配合薬剤)による治療がよく知られています。これらは原因を治療するのではなく、症状を抑える治療ですので、効果に個人差があります。一方、胸部交感神経切除手術(ETS手術)は、手掌多汗症の原因である交感神経を切断もしくは切除することで機能亢進を止めるため、確実な効果が期待できます。しかし、手掌以外の腋窩や足底部の多汗には効果は個人差があります。

当院での手術は全身麻酔で、左右両側のわきの下に直径3ミリの傷を3ヶ所につけて、カメラと2本の鉗子を胸腔に入れ、胸の奥の背骨の近くにある交感神経の線維を一部切除します。多くは左右同時に手術を行いますが、1時間程度で終了します。入院期間は1泊2日です。また、脇に下の傷は極めて小さく、傷あとは手術直後から目立ちませんし、術後に痛みを訴える患者さまはほとんどありません。

右胸部交感神経幹 白色の索条物(矢印,径1mm)      切除部位(両矢印間)

左腋窩(脇の下)の創

この手術の長所は傷が小さいこと、手術時間が短いこと、したがって患者さんの身体的負担が軽いことと、その効果が確実なことです。もちろん健康保険も適用されます。

通常はETS手術の当日に入院し、翌日の昼ごろの退院となり、1泊2日の入院となります。

合併症としては、代償性発汗(手術前にはなかった、胸、腹、腰や大腿部の汗が多くなるという現象)や手の「かさつき」などがあります。代償性発汗は程度の差がありますが、ほぼ全員に出てきます。また、ごくまれで私自身の経験はないのですが、ホルネル症候群が報告されております。これは眼瞼下垂と縮瞳を伴う目の神経障害です。以上のこと、特に代償性発汗については術前に十分に説明しておくことで、手術を受けることを納得されることが多いようです。そのために、術後に満足度をお聞きすると、ほとんどの方は手術を受けてよかった。こんなことなら、もっと早く受けておけばよかったと答えられます。

手の汗でお困りの方がいらっしゃいましたら、当院呼吸器内科および呼吸器外科で対応させていただきますので、まずは第一東和会病院 地域医療連携室(072-671-1008)までご連絡ください。