トピックス
婦人科良性腫瘍にはいくつかの種類があり、手術をご提案することもあります。以下に代表的なものを2つ挙げます。
子宮筋腫
子宮筋腫とは、子宮の壁を構成する組織の一部が大きくなり、しこりのようになるものです。女性ホルモンが関係し、20代から閉経後までの方によく見られます。子宮筋腫自体は、良性の腫瘍です。症状として、出血、過多月経、貧血、生理痛、頻尿などがある場合もあります。まれに筋腫だと思っていたが悪性子宮肉腫(がん)であったという場合もあります。子宮筋腫の治療方法として、薬物療法や手術などがあります。患者さまの状態に合わせて必要な治療を一緒に考えていくことになります。
卵巣腫瘍
卵巣腫瘍とは、卵巣に発生する腫瘍の総称です。良性の卵巣腫瘍は通常、ゆっくり成長し、他の臓器に広がることはありません。初期症状は無症状の場合が多いですが、進行すると腫瘍がねじれたり(茎捻転)、腫瘍が破裂して、急に強い腹痛が現れることもあります。また、悪性の場合は全身に転移する可能性があります。卵巣腫瘍が見つかった場合、経過観測、または、腹痛が生じる前に手術を選択することがあります。
vNOTES(経腟的内視鏡手術)について
vNOTES(Vaginal Natural Orifice Transluminal Endoscopic Surgery)とは、お腹を全く切らず
膣から腹腔鏡下手術用内視鏡カメラや医療器具を挿入しながら行う手術です。
膣の奥に創部ができますが、外から見える創部はありません。婦人科良性腫瘍の他、婦人科の多くの疾患に適応可能です。
vNOTESのメリット
vNOTESは従来の腹腔鏡手術と比較していくつかのメリットがあります。
①腹部に全く傷が残らないため整容性・美容面がより優れている 。(下図参照。)
②腹部の創部感染がない。
③術後の痛みが少なく入院期間も短くなる。
④社会復帰がより早い 。
※保険適応があります。手術費用は腹腔鏡手術と変わりません。
vNOTESのデメリット
一方でいくつかのデメリットがあります。
①性交未経験や膣が狭い方にはできない。
②子宮筋腫が大きかったり、子宮内膜症*で癒着が強い場合は従来の腹腔鏡手術に切り替えることがある。
※子宮内膜症・・・子宮内膜症は、子宮内膜に似た組織が子宮の外に存在する状態です。通常、子宮内膜は子宮の内側を覆う組織ですが、子宮内膜症ではこの組織が卵巣、卵管、腸、膀胱などの他の場所に成長し、癒着(組織と組織がくっついた状態)が生じます。また、女性ホルモンが深く関わっており、月経の度に病気が進行していきます。激しい月経痛、骨盤痛、不妊症などの症状があります。
当院におけるvNOTES
vNOTESは医師の高い技術を要するため、手術が出来る施設が限られています。
当院では子宮筋腫・卵巣腫瘍以外に女性泌尿器科領域の骨盤臓器脱*でもvNOTESを行っております。
当院では、vNOTES以外にも様々な選択肢を用意しておりますので、お気軽にご相談ください。
※骨盤臓器脱・・・ 骨盤の筋肉や結合組織が弱くなり、骨盤の構造が支えきれなくなることが原因で、骨盤内の臓器が膣からとびだした状態のことを指します。特に出産、加齢、肥満などをきっかけに生じる場合が多く、とびだす臓器によって、子宮脱、膀胱脱、直腸脱、小腸脱など呼び名が異なります。
初診時選定療養費について
初診時に、他の医療機関等から紹介状をご持参されない場合は、初診時選定療養費として、7,700円をお支払いいただきますのでご了承ください。