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白内障の治療
日常生活に支障がない程度であれば、点眼薬や内服薬により白内障の進行を遅らせることはできますが、これは水晶体が濁るスピードを遅くするもので、症状を改善したり、治療することはできません。
白内障が進行したり、白内障が原因で日常生活に不自由を感じるようになった場合は手術を考えましょう。運転免許証をお持ちの方は、更新に支障がでる視力0.7以下が目安と考えられます。
白内障以外の病気がある場合は、手術方法を工夫し、全身の状態を診て手術の時期を決定します。手術を考える時は、医師とよく相談するようにしましょう。
■手術を考える目安
- 視力が低下して仕事に支障がでる
- 外がまぶしく見づらい
- 視力が低下して運転免許の更新がおぼつかない
白内障の手術
白内障の手術は主に、濁った水晶体を超音波で砕いて取り除き(超音波水晶体乳化吸引術)、人工の眼内レンズを入れる方法が行われています。手術は目の状態にもよりますが、10分?30分くらいで終了します。このような短時間の手術で、患者様の身体に負担が少なくなったことから、日帰り手術が可能となっています。
手術までの流れ
■ 1.手術前検査
目に合った眼内レンズを選ぶために様々な検査を行います。ご自分のライフスタイルに合った度数を選んでいただくことが大切です。
- 視力、眼圧、屈折検査
- 眼底検査(網膜の状態を調べる)
- 細隙灯(さいげきとう)顕微鏡検査(水晶体の濁りの状態を調べる)
- 角膜内皮細胞検査(角膜の内皮細胞が減っていないかを調べる)
- 眼軸長検査(眼内レンズの度数を決める)
- 問診、血圧検査 ほか(※水晶体の濁りが進行している場合は、網膜の電気的検査、超音波検査なども行います)
■ 2.手術の説明と入院期間
第一東和会病院 眼科では日帰り手術も行っています。日帰り手術は以下のような条件を満たしている必要があります。
- 患者様の全身の状態で医師が可能と判断した場合
- 通院可能な患者様
- 重篤な合併症が無い患者様
- 家族の協力が得られる患者様
網膜剥離など目に他の病気を抱えている患者様や、病院との緊急連絡がとれない患者様、手術後なのに仕事をしなければならない患者様は、通常の入院手術をお勧めします。手術後の注意をしっかり守れることも条件のひとつです。
■ 3.手術
局所麻酔で手術は行われます。
黒目と白目の境辺りを切開し、鉛筆状の手術器を挿入、超音波で水晶体を徐々に砕いて吸いだします。これを超音波水晶体乳化吸引術といいます。
その後、水晶体のあった場所に人工の眼内レンズを移植します。
当院では患者様に最適な眼内レンズを選択し移植しています。
代表的な眼内レンズ。乱視付きや多焦点レンズなど各種存在しますが、一長一短なところがあります。
眼内レンズは直径6mmほどで、後嚢に固定するためのループがついています。眼内レンズをいったん挿入すれば、取り替える必要がありません。
手術後の経過と養生
目に触れないよう心掛けてください。
手術後は以下の注意点が重要です。日帰り手術の場合は軽く考えてしまいがちですので、特にご注意いただきます。
- 手術後一週間は、目に水やゴミなどが入らないようにする
- 入浴や洗顔は1週間くらいは避けるようにする
- 目を押したり、こすったりしない
- 転ばない、ぶつけない
- ホコリっぽいところに出かけない
手術直後は、目が充血することがあります。また、目がゴロゴロする、涙がでる、目がかすむなどの症状がでる場合もありますが、これらの症状はほとんどの場合、数日から1?2週間で治まります。
点眼は医師の指示をお守りください。
手術後しばらくは、手術で起きた炎症を抑え感染を防ぐために、医師の指示通りに点眼薬を使用します。
手術の翌日からでも疲れない程度に目を使ってもかまいませんが、見え方で色調の違和感やまぶしさを感じる場合があります。色調の違和感は次第に慣れていきますが、まぶしさが続くようでしたら、症状を緩和させるためにサングラスや色つき眼鏡の使用をおすすめいたします。
事務など目に負担のかからない仕事であれば、翌日からも可能な場合もありますが、医師とよく相談してください。
手術後、しばらくは定期検査が必要です。
眼内レンズはピントを合わせる調整力がございませんので、眼鏡が必要になります。手術後2週間?2ヶ月頃には視力が回復し安定してきますので、この時期にご自分の視力に合った眼鏡を作っていただくことになります。
後発白内障のレーザー治療
白内障の手術後、数ヶ月?数年して、また「まぶしくなる」「目がかすむ」といった白内障と似たような症状が現れる場合があります。これは「後発白内障」といわれるもので、手術の際に残しておいた水晶体の後嚢が濁ってくるために起こります。
後発白内障は手術の必要はなく、レーザーを使って簡単に濁りをとることができます。視力はすぐに回復し、入院の必要もございません。