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小児のアトピー性皮膚炎について

アトピー性皮膚炎は、皮膚症状が良くなったりわるくなったりを繰り返す疾患です。症状としては、強いかゆみのある湿疹が認められます。もともとアレルギーである方に症状が出やすいです。

乳児では2カ月以上、それ以降の年齢であれば6カ月以上かゆみのある湿疹が認められた場合に、アトピー性皮膚炎であると診断されます。年齢によって症状がでやすい場合は異なります。見た目や性質・状態もさまざま。日本では小児の約10%がアトピー性皮膚炎であるといわれています。

アトピー性皮膚炎の病態

アトピー性皮膚炎では、主に二つのことが皮膚でおこっています。

・皮膚のバリア機能の低下

・皮膚の炎症

皮膚の「バリア機能」とは、皮膚の角質層が持つ肌の保護機能。肌の水分量を維持することで、外部刺激からの肌を守ります。アトピー性皮膚炎では、肌の水分量が失われているため、外部刺激からの影響を受けやすく、炎症がおこりやすくなります。

当院の診療について

当院で診察する場合、以下の説明をさせていただきます。

  • アトピー性皮膚炎の病態(上記のようなことです。)
  • スキンケアの方法(バリア機能の保ち方)
  • 炎症の治療法
  • 症状を悪化させないための生活習慣

病態で説明した通り、アトピー性皮膚炎では「バリア機能の低下」「炎症」が起こっています。その対処として、以下を行います。

・スキンケア

皮膚のバリア機能を保つため、皮膚を清潔に保ち、保湿を行います。入浴の際は、石鹸で優しく洗い、しっかりと洗い流します。保湿剤は多種多様で、身体に合うものを使用します。

・抗炎症治療

次のような外用薬の塗布が基本です。

  • ステロイド外用薬
  • タクロリムス外用薬
  • デルゴンチニブ外用薬
  • ジファミラスト外用薬

それぞれの薬剤に特徴があるため皮膚の状態や部位によって適切に選択し、使い分けていきます。難治性のアトピー性皮膚炎に対しては、生物学的製剤やJAK阻害薬と言われる薬剤で全身治療を行うことも可能です。

※生物学的製剤

遺伝子組換え技術や細胞培養技術を用いて製造された薬剤で、高分子の蛋白質であり、内服すると消化されてしまうため、点滴あるいは皮下注射で投与する。バイオあるいはバイオ製剤とも呼ばれる。

※JAK阻害薬

特定の酵素であるJanusキナーゼ(JAK)を阻害する薬剤。これらの薬は、免疫系の調整や炎症反応の制御に関与するJAK酵素をターゲットにしている。JAK阻害薬は、関節リウマチ、皮膚筋炎、多発性硬化症などの自己免疫疾患、および一部の血液疾患の治療に使用される。

・アレルゲン(悪化因子)の回避

アレルギー疾患を持っている人の抗体と特異的に反応する抗原のことをアレルゲンといいます。汗、ダニやハウスダストなどがアレルゲンとなる場合、周囲の清掃を行いますが、過度に清潔にしてもあまり効果は認められません。また汗で悪化する場合はこまめに汗を拭いたり、可能であれば水道やシャワーで汗を洗い流したりすることで、ある程度悪化を避けられることもあります。

こどものアトピー性皮膚炎

食物アレルギーの関与する乳児アトピー性皮膚炎という病態もあり、原因食物を食べるとアトピー性皮膚炎が悪化する方もおられますが、抗炎症治療をしっかりしているにも関わらず炎症が改善しない場合、アトピー性皮膚炎が疑われます。学童期以後はほぼ認められない病態です。また乳児期は、乳児湿疹と思われていたものがアトピー性皮膚炎であることがよくあります。また、学童期の子どもたちは「かゆい湿疹はいつものこと」と思い込んでいることがあります。しかし、コツコツ適切な治療を続ければほとんどの場合で改善が期待できます。

※乳児湿疹

生後2ヵ月までの赤ちゃんによく見られる湿疹のこと。皮脂分泌が盛んな時期であるため、皮脂量が多い頭、顔、脇の下などに湿疹が出ることが多い。

気になる皮疹がある場合は、当院外来でお気軽にご相談ください。ご予約は不要です。

・常勤医師が平日(土日祝以外)は毎日、外来診療を行っています。

・待ち時間少なく受診できます。

・同一の医師が責任を持って病状の経過を診察します。

・お子さんや保護者の方と相談しながら診療をすすめます。

・総合病院として検査も充実しています。