トピックス
【特殊検査・内視鏡治療】
カプセル内視鏡
当院ではギブンイメージ社製の最新式カプセル内視鏡を採用しています。これまでの小腸カプセル内視鏡に加えて、大腸カプセル内視鏡も導入しています。これは、超小型カメラを内蔵した長さ31mm×幅11mmのカプセルを、ビタミン剤のように口から飲み込むだけで、小腸あるいは大腸を通過しながら画像を撮影し、画像を記録装置に転送することで、この画像をもとに診断を行います。小腸では、今までのカメラでは見ることができなかった部位を観察することができ、大腸では、従来の大腸カメラであった「怖い」「痛い」「苦しい」、また女性では「恥ずかしい」といった思いをすることがありません。適応は原因不明の小腸出血で、胃カメラや大腸カメラでも出血源がわからない時、または何らかの理由で大腸カメラを行えない方です。ご希望の患者様は一度担当医にご相談してください。
ERCP検査(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)
ERCP は内視鏡を十二指腸まで挿入し、膵管・胆管の出口(十二指腸乳頭部)に細い管(カニューレ)を入れて造影剤を注入し、膵管・胆管・胆嚢のエックス線撮影を行う検査です。当院では病気の診断目的で行うよりは、膵管・胆管が結石や腫瘍で詰まってしまった時の、一時的なステント(金属やプラスチックの細い筒)留置や、ドレナージチューブの留置目的で行うことがほとんどです。最終的には内視鏡外科による手術を受けていただきますが、内視鏡を使った総胆管の結石除去術も場合によっては行いますので、一度担当医にご相談してください。
EMR(内視鏡的粘膜切除術)
胃や大腸といった消化管にできる良性のポリープを内視鏡的に切除する方法です。食塩水をポリープの下部に注射した後に、スネア(金属の輪)で縛って高周波で焼き切ります。当院では大腸ポリープの場合、1cm以下の小さなポリープであれば日帰り手術を行っています。また、大きな大腸ポリープや胃ポリープは術後偶発症の予防のため、原則2泊程度の入院加療を行っています。ただし、悪性腫瘍の場合は確実な治療を心がけているため、下記のESDで治療します。
ESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)
おなかを切らない手術方法です。咽頭、食道、胃、十二指腸、大腸、直腸といった消化管全体に発生する早期悪性腫瘍に対し、内視鏡的に切除する方法の一つであり、従来法にくらべ取り残しが少なく治癒切除率が高い方法です。また、病気を一括で切除するため、確実な病理組織診断が可能なことから、正確な術後の治癒判定ができ、非常にメリットの大きい切除方法です。しかし、技術的に非常に難しい手技であることから、限定された施設でのみ行われているのが現状です。当院では、このESDを専門とした時岡 聡医師が赴任しており、特に全国的にみても限られた施設でのみ行われている大腸、直腸ESDを積極的に行っています。外科的な手術をすれば、人工肛門になる可能性があると言われた方も、このESDなら肛門を残して治癒する可能性があります。あきらめずにご相談いただければと思います。入院期間も約1週間と外科手術にくらべ短期間で退院可能です。
LECS(腹腔鏡・内視鏡合同手術)
当院内視鏡外科センターとの連携で行う最新の治療です。この治療は、胃カメラ治療と腹腔鏡手術を同時に行うことで、必要最小限の侵襲で腫瘍切除を可能とする新しい手術方法です。胃粘膜下腫瘍をはじめ、ESDが困難な早期胃癌に対して行っています。当院は内視鏡手術というものに特化した施設であるため、外科医と内科医が綿密にコミュニケーションをとっており、このような最新の手術も得意分野です。医者に胃を全部取らないといけないと言われた方も、一度当院にご相談ください。当院では今までどおりの胃が残せるかもしれません。
EIS、EVL(内視鏡的食道静脈瘤硬化療法、結紮術)
食道静脈瘤(食道にできる血管の拡張)は放置しておくと破裂し大出血を起こします。場合によっては生命に危険を及ぼすほどの大出血を来すため、あらかじめ拡張した血管を潰しておかなければいけません。そこで、内視鏡的に拡張した静脈瘤に硬化剤を注入したり、輪ゴムを縛ることで静脈瘤を潰してしまい出血を予防します。完全に潰してしまうことを目標としますので、治療1回に1週間程度の入院を数回に分けて行います。
消化管ステント留置術
食道、胃、十二指腸、大腸がおもに癌でつまってしまい、食事や便が通らなくなった時に、ステント(金属でできた筒)を挿入し、再び食事が食べられるようにする治療です。さらに、大腸癌による腸閉塞においても、今までは鼻からのチューブを長期間入れる必要があったり、一時的に人工肛門となることがありましたが、当院では緊急的にステントを入れることで、数日後から食事が摂れるようになり、鼻からのチューブは必要なく、人工肛門になることもありません。
緊急内視鏡
緊急的に内視鏡検査による処置をしなければ、生命の危険にかかわる場合に行います。内容は多岐にわたりますが、当院では主に以下の病気に対応しています。24時間対応可能であり、原則入院加療が必要です。
- 胃・十二指腸潰瘍などの上部消化管出血
- 食道静脈瘤破裂による出血
- 憩室出血や腸炎などの下部消化管出血
- 食道異物除去
- 総胆管結石や胆石による急性胆管炎